小室友里の聞かせてプリーズ

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第50回 睦美杏奈さん(20)
生年月日:1983年3月27日
年齢:20歳
星座:牡羊座
血液型:A型
お仕事歴:2年
出勤:20日/月
月収:70万/月
所属事務所「Barbie pro.」(携帯サイトあり)
http://www.barbie-pro.com/index_pc.html
【東京オフィス】
E-mail:model@barbie-pro.com
「アダルトだけでなく、ノンアダルトのお仕事もご紹介しています。
あなたのライフスタイルを私たちに教えてください。一緒に夢を叶えていきましょう! 
東京以外にも名古屋・大阪にオフィスがあります」

家の借金が一千万円あることを知って……

●お仕事を始めたきっかけは?
「ちょっと複雑な家庭環境で……家にどうしてもお金入れなくちゃいけない状況で、背に腹は変えられないって感じで始めました。父親が一緒に暮らしてなかったんですよ。どこにいるかわからなくて、たまにふらっと現れて。生活費は父と父方の祖母が入れてくれてたんですけど、あるときから入れてくれなくなって。でも、母も天然だからパパが帰ってくればなんとかしてくれるわって、父名義で借金しまくって(苦笑)。で、一千万円の借金明細を私が見つけてしまったんです。それでどうにかしなきゃならん、と」

●そのとき杏奈さんまだ未成年でしょ? 一応ご両親には養育の義務があるよ!?
「母もホントに天然で、逆に言えばお金に甘いってことなんですけど、それまでお金に困ってなかった生活を仕送りがなくなったあともしちゃったんですね。お母さんも働いてるけど当然足りなくなりますよね」

●お母さん、何も言わなかったの!?
「こういう仕事を始めたことに関しては、お互い触れなかったですね。妹も家にいたし暗黙のルールで。心配はしてくれてたから喧嘩はしょっちゅう。『私に注がれる視線はどうにでもなるけど、あなたに直接注がれる視線からは守ってあげられない』って。そんな心配よりまず借金! 他人の視線なんかかまってられないって思ってました。母も心配する以上のことは何も出来ないって感じで」

●杏奈さんが一家の大黒柱なのね?
「今もそうです。AV始めてから大阪にはなかなか帰れないけど、銀行にお金入れておけば勝手に引き出して生活してるみたいだし」

●借金は返し終わったの?
「19歳で完済しました。月200万は稼いでましたね。でもそれだけ稼ぐには、それなりのつき合いや身支度も必要。 ブランド品もその一つでしたから経費はかなりかさみましたね。(借金)完済したら学校へ行こうって思ってたんですけど、その頃にはすっかり金の亡者(笑)。お金で苦しんだぶん、今度は家族で楽しい生活しようよ!ってそのまま働いちゃいましたね。この2年で水商売も風俗もストリップもコールガールみたいなことも、その手のお仕事は全部やりましたよ。おかげで1人一部屋ある広いマンションに引っ越すこともできたし」

●どうしてお父さんとは一緒に暮らせなかったの?
「それが今もわかんないんですよ。母も教えてくれないし。最近ようやく聞いたのが、六本木のクラブで母が働いてるときに、お客さんだった父と出逢ったってことくらい。私が生まれて妹も生まれて『この子誰の子?ああ、俺の子!どうりで顔が似てるはずだ! じゃあ結婚するか!』なんて軽いノリで結婚したらしいし(苦笑)。妹と二人でパパは実は宇宙人なんだ! 私たちは愛人の子供で……とかいろいろ詮索してましたね~」

●ご両親がそろわなくて寂しくなかった?
「そんなこと言ってる場合じゃなかったですから!……って二人を離婚させたもの私だし」

●そうなの!?
「父にはこのままうちが破産したら、残った借金は全部パパの責任だよ? 母にはパパとの関係は、国が決めた紙切れ一枚で繋がってるものなの? 気持ちがあれば籍なんて関係ないよ?ってさとして、離婚届に判押させて。単純に二人が籍入れてると生活保護受けられなかったんですよね~(笑)」

●どうしてそこまで杏奈さんが1人で頑張らなきゃいけなかったの?
「妹には知られちゃいけないと思ったんです。借金のことも離婚の原因も、もちろん私の仕事のことも。本当に可愛くて無邪気で、大好きな妹なんです。でも、妹から見たらヤンキーで遊び人で好き勝手やってる姉にしか見えてなかったと思いますよ」

●お姉ちゃんが大黒柱だってことも知らないの!?
「知らなかったです。最近になってようやく知ったくらいで。私が大学行かないで働いてたのも遊ぶ金欲しさだと思ってたかもしれませんね。だから喧嘩すると『お姉ちゃんだって好き勝手やってるじゃん!』ってよく言われてましたよ」

●風俗のお仕事全般、精神的リスクが高いお仕事だと思うんだけど、杏奈さんはそれをどうクリアしてるの?
「何かがあったからここにいる、縁があったからこの人に出逢ったんだって思うようにしてます。面倒臭いなって思うお客さんでも、今日この人に出逢うように人生できてたんだよ!って」

死んじゃったほうが楽って考えたこともありました

●どうしてそれが私なんだろう?って思うことはない?
「ありますよ、もう沢山!!『風俗やろうかな、AV一本にしようかな』とか言ってるコを見ると、親に大学まで出してもらって、何がそんなに不満なの!? って思う。正直家族みんなで死んじゃったほうが楽って思ったこともありました。でも、妹のことを思うと道連れにはできないけど私がいなくなったらこの家族はどうなっちゃうんだろう?って保険のことをすっごい調べました」

●ほ、保険?
「死んだら保険金は幾ら支払われて、妹が大学卒業まで幾らかかるからこの保険では賄えないとか。財産分与で残った財産はすべて妹にって遺書に書かなきゃ……とかそういうことを考えてると時間がかかり過ぎて死ぬに死ねなくなっちゃう(笑)」

●考えてる間にテンション戻りそう(笑)。
「そう! しょーもないことで死ぬことを考えてる人がいたら、死ぬための準備から始めてごらん?ってぜひ言いたい!  本当に大変だから、中途半端に死ぬフリして痛い思いした挙げ句、リストカットの痕残っちゃうくらいならタトゥ入れてるほうが全然かっこいいっての。自分の最期だもん。しっかり考えて欲しい」

●ところで……今までやった仕事の中で水が合ってると思ったのは?
「ないですね……。どの仕事でも売上げはあったけどそれなりの努力はしてたし。風俗では精神的に参っちゃったときもあって。AVと違ってみんなが働きに来てる場所じゃないからかな?」

●どういうこと?
「AVは全員が仕事のために居るでしょ? 風俗は、お客さんは仕事で来てるわけじゃない。こっちは仕事なんだけど、それを感じさせないように接客をする。みんなが同じ方向を見ているAVに対して、ずっと平行線の風俗って感じかな?」

●AVのほうが楽かな?
「そんなこともないですよ。ほかの女優さんと同じ現場だと会話にも気を使うし。みんなが同じ内容、同じギャラの仕事ってないから。たまにしか仕事もらえない人に『今いい感じで仕事回ってて……』なんて話はできないですよね」

●AVのような性の一部をお仕事にしてることをどう感じてる?
「映像を作ってるプロだと思ってる。エッチな内容が求められていて、それに参加して作品を作った一人。性行為も、そういう内容が求められる作品で、そういう役をもらったからそれに徹してる。いかにエロく、いかにスゴくできるか?っていう仕事だと」

●それって睦美杏奈さんが喋ってる? それともホントの貴女が話してるのかな?
「ホントの私ですね。杏奈はもっとハイテンションで怒られやすいキャラ。それも狙いなんですけど。怒られたほうが人からたくさんのことを吸収出来るから。それができるのも若いうちだけだと思うし」

●もう一人の自分を作ることでホントの自分を守ってる、ってこともあるのかな?
「そういうのがないと、私は逆に疲れちゃうかも。どの仕事も自分がやりたかったことではないし。本当は人を守れるような仕事……ユニセフ的な」

●青年海外協力隊とか?
「そういうのをやりたかったんですけどね。大学出て人に教えられるような技術がないとダメじゃないですか。でも、今の仕事がイヤだなとは思わないですね」

●AVも自分の人生の物語の一つ?
「そうそう。今だったら『AV編』とか(笑)」

彼氏や旦那さんには、自分と違う世界観をもってる人がいいですね

●考えが職人さんっぽいんだね~。一つ一つに精魂込めて……って。男の人を選ぶときもレベルが高そう。
「それが、そっちはわりといい加減(笑)。仕事か恋愛かどっちかしか選べないから『仕事、ときどき彼氏』なんです。だから彼も『仕事、ときどき彼女』な人じゃないとつき合えない。それに仕事辞めてって言われても、私だけじゃなくてうちの家族も養ってもらうことになるから、それならお互いにいい距離でおつき合いしましょってほうが、男性も楽だと思うんです。一時はよくてもそれが一生続くって思うと、男性もやっぱり引きますよね~」

●杏奈さんが彼氏や旦那にしたい人ってどんなタイプ?
「自分と違う世界観を持ってる人。同じだと絶対喧嘩になるから。違う世界観同士、分からないところは触れないで、それ以外で仲良くしましょって。結婚の話にしたって私が過去にやってきたことはずっとついてくるし、それはあなたにもついてくるってことだから、もう一度考えてくださいってプレゼンしちゃうと思う」

●ところで。AVはいつまで続けようって思ってる?
「仕事が来なくなるまで。いずれは芸歴35年!とか言いたい(笑)」

●その頃には熟女もいいところだよ!?
「60歳手前になっても続けてて『こいつクレイジー』って思われるのもかっこいい。睦美杏奈でやれるだけやりたいし、辞めるつもりもない。この業界に徹底的に居続けてセクシーな演技ができるカッコイイ女優になれたらいいですね」

プロフィール
小室友里 小室友里
1975年7月28日生まれ。獅子座O型。
18歳でグラビアデビュー。AV女優として4年間活動した後、女優兼ライターに転身。現在は映画、舞台、執筆、講演会を中心に活動中。趣味は自転車に乗ること。

☆ブログ・twitter☆
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☆所属事務所☆
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