第57回 なぎささん(25)
名前:なぎさ
年齢:25歳
生年月日:ヒミツ
血液型:O型
趣味:旅行、料理
お仕事歴:3年
出勤:4~5日/週
月収:80万
所属店舗:キャンディガール東京
メールアドレス:tokyo@amrls.jp
「女のコ同士が和気あいあいとおしゃべりしている、アットホームなお店です。業界が初めての方でも安心して働いてもらえるような環境づくりを目指しています」
家を見つけたかったから、寮付きがよかった
●どうしてこの仕事を始めたの?
「そのときは親とケンカしてて、友達の家を点々としてたの。でも、このままじゃなぁと思って、『どっかさぁ、いいところない?』って友達に話したら、『それじゃあ、○時に○○に集合ね』って連れて行かれたところが、ソープだったんですよ」
●な、なんでソープ!?
「寮があったから(笑)。ホントにそれだけ。紹介してくれた友達もそこの店で働いてて、ついでにオーナーの愛人だったみたいなんだよね。そんなわけで、いろいろ口聞いてくれたみたい」
●それはまたすごいきっかけだね……。
「でも、ソープはすぐに辞めたよ。そのあと、彼氏ができて一緒に住んでたし」
●実家に戻ったんじゃないんだ。
「全然家に帰らなかったんだよね。というより、親と本当に仲が悪くて、帰りたくなかった。家の中もギスギスしてたし。ウチってね、おじいちゃんの代から会社やってて、それをお父さんも手伝ってたんだ。なんだけど、会社が倒産して借金抱えて、そもそもおばあちゃんのいびりやいじめが激しかったのもあって、お母さん、とうとう私とお姉ちゃんと弟を連れて家を飛び出しちゃったんだ。私達もそれを知ってたから、あの家から出て行くのは大賛成して。5年別居して、そのまま離婚。それが小学生のとき。離婚するのは別にどっちでもよかったんだけど、そのあとお父さんが失踪しちゃって」
●し、失踪!? いなくなっちゃったってこと!?
「そうそう。なのに、10年後にひょっこり戻ってきて、いきなり私と暮らすって。このオヤジはまったく何を言い出すかと思ったら……。でも、お父さんはその気マンマンだし、部屋まで借りてきちゃったもんだから、とりあえず少しの間は一緒に住んだんだ。だけど、私が彼氏の家に行くようになってから、ほとんど帰らなくなって、お父さん、寂しがっちゃって。でも、すぐに彼女ができたみたいだから、それはそれでOKって」
●お母さん、いい顔しなかったんじゃない?
「当然激怒してたよ。もともと私がお父さんっ子だったから、それもちょっとイヤだったみたい。イヤってほどでもないかもしれないけど、私にヤキモチ妬いてた。お父さんがさ、お母さんそっちのけで私ばっかり構うし、おばあちゃんがお母さんのことをいびってるときも、まったくかばおうとしなかったんだ。完全におばあちゃんの肩持っちゃって。そんなんで夫婦関係がうまくいくわけないじゃん?」
●確かに……。お父さんと一緒に住んでて、仕事はバレなかったの?
「家中みんな知ってたから」
●ええ~っ!?
「私、岐阜の出身で、もともと名古屋でソープやってたんですよ。そのときから顔出しして。お姉ちゃんの彼氏が雑誌で私を見つけて、お姉ちゃんに情報が回って、ソッコー電話。『アンタ、思い当たることない?』って。初めはシラ切ってたんだけど、『ここの店で働いてるんでしょ!』って。そこまでバレちゃぁしょうがないやって感じで、それからは家族中に」
●ご両親、反対しなかった?
「最初はすんごい怒ってたし、反対されたけど、私がこうと決めたら絶対こう!って性格だから、あきらめたんだろうなー。お父さんと住んでるときには、お店に行く途中まで車で送ってくれましたよ。『頑張ってな』とか声かけてくれて」
東京に来たのは、ゼロからスタートするため
●岐阜から東京に出てきたんだよね?
「静岡や福岡にいたこともありましたよ。家の事情?ってやつで、私一人で福岡にいるおばさんの家に預けられてたこともあるんですけど、そこの生活がイヤでイヤで」
●福岡で何があったの?
「おばさんの家は理髪店をやってたんだけど、私は半ば居候みたいなもんだから、朝から晩まで店を手伝わされて、家事も全部私がやって。福岡は福岡でも、田舎のほうの福岡だったから、『名古屋から派手な若いコが来た!』って、町中の人が物珍しげに私を見に来るの。それがもう耐えられなくて」
●見せ物パンダじゃないっての、ねぇ?
「しかもね、『大きくなったらおばさんのお店を継ぐ!』なんて子供の頃に言ってたみたいなんだけど、この年齢になってまで覚えているわけないじゃん! 言ったとしても、本気なわけないでしょ。それをめちゃくちゃ真に受けてて、『あのとき(お店を継ぐって)言ったじゃない!』なんて責められてもさあ……」
●それはお父さんのお嫁さんになる!ってくらい、笑って聞き流す話だよね(苦笑)。
「継ぐ気ありません!ってはっきり伝えたら、もう二度と来るな!くらいな勢いで次の日に追い出されて。半日だけ立ち寄った岐阜の実家でも、おばあちゃんにグチグチ文句言われて……。ソッコーお姉ちゃんに助け求めて、迎えにきてもらって。お母さんも『アンタも疲れただろうから、しばらくここでゆっくりしていきなさい』って。でも、ここにいちゃダメになる、一切合切やり直そうと思って、東京に出てきたんです」
●いいお姉さんとお母さんだね。
「相変わらずお母さんとは仲悪いけど。だって、私がお母さんに電話したり、メールしてもスルーだし!? たまに『実家に帰ろうかな』なんて言っても、普通に無視されるし。でも最近お姉ちゃんに、『あのコがああなったのは、私が離婚したときに構ってあげられなかったからだ』って、ボヤいてたみたい。お姉ちゃんも子供ができて、お母さんの気持ちがよくわかるって。アンタも早く風俗なんか辞めてこっちに帰ってこい、まともな仕事に就くか結婚しろ!ってよく言われる(笑)」
●その間、風俗はやってなかったの?
「おとなしく普通の仕事をしてましたね。けど、名古屋のホストクラブの支払いが足りなくなっちゃって。金融には借りたくないし、彼も貸せるほどの貯金はないし。で、足りない分を稼ぐ間だけやっていいって条件付きで、もう一度風俗を始めることに」
●今は一緒に住んでるの?
「(東京に)出てきた頃は住んでたけど、今は別々。私と一緒にいると彼も甘えが出るし。2歳年下なんだけど、そこはやっぱり男で、『お金貸して欲しい』って言うのイヤだったんだろうな。『このままじゃ俺がダメになるから、店の寮に入る』って」
●もう一度風俗やるの、イヤじゃなかった?
「う~ん……仕方ない、かな。私一人の稼ぎじゃ、彼を助けてながら自分の生活もって、やっぱり無理だし」
●二人の職業柄、異性を相手にするでしょう? ケンカにならないの?
「なりますよー! 私も彼がホストやってるのはやっぱり心配だし、今日は先輩につき合ってくるから、って電話もらっても、本当は違うんじゃない?って疑っちゃう。でもなー、私も男相手に仕事してるしなー。彼氏も同じようには思ってて、私が風俗やってるのは自分が頼んだからだって、負い目は感じてるはず。『俺が稼げるようになったら、すぐにでも辞めてくれ』って言われてるし」
二人の生活が安定するまでは、まだ……
●彼と結婚することを考えたりする?
「考えてる。こんな歳だし、ホントに若くないし。彼氏も口には出さないけど、たぶん少しは考えてると思う。考えるから、このままじゃこの人とは結婚できないなって」
●ダンナさんの職業がホストってアリなの?
「ナシ! それがオーナーで経営してますとかっていうなら話は別だけど。第一、家族が許さないかな。お姉ちゃんなんか、絶対に一般人じゃないと結婚は認めないって言ってるし」
●ホストやらなくったって、普通の仕事で女一人くらい養えるよ?
「アハハ、確かに。まだ彼は若いし、自分のやりたいことやってたいんですよ。ホスト辞めたら、不動産関係に就きたいって言ってるから、それまでは許してあげようかな」
●風俗の仕事、イヤじゃないの?
「すんごいイヤになるときはある。彼氏以外の誰にも肌に触れてほしくないとか。そういうバイオリズムみたいなものが、2ヵ月に1回くらいあるかな。でも、根本的に大嫌いだったら続けられないと思う、この仕事は。いろんな人と話せるし、そういうところは私も(風俗を)楽しんでるし」
●なぎささんは風俗あがったら、何かしたいことはある?
「こう見えてもホームヘルパーの資格を持ってて。高校辞めたときに、お母さんに無理矢理取らされた(苦笑)」
●先見の目があるじゃん、お母さん!
「なので介護の仕事に就くか、マッサージの資格を取って、そういう方向に行こうかなって」
●風俗あがるときのことは考えてる?
「今はまだ。とにかくお金を貯めて、彼との生活が安定したら辞めたいなと思って。でも、私だってそんなに若いわけじゃないし、いつまでもこの仕事は続けられないでしょ。30歳の誕生日までにはあがりたいなぁ。それか彼氏の子供ができたとき! 彼氏はまだ早いって言うかも。でも、堕ろすなんか絶対イヤだし、何が何でも産んで育てるつもり。そうなったら、お母さんところに帰ろうかな」
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