小室友里の聞かせてプリーズ

今月は縛師の荊子さんにインタビュー。ちょっとディープなSMの世界を教えてもらいました。
制作者さんならではのお仕事目線は、SM関係者、AV関係者だけでなく、てぃんくら~なら必読です。即実践で使えるテクニックも!

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第82回 荊子(いばらこ)
名前:荊子(いばらこ)
生年月日:ナイショ
星座:ナイショ
年齢:ナイショ
趣味:読書
お仕事歴:10年
出勤:25日/月
月収:ナイショ
荊子HP:『ibarako website』http://www.ibarako.net/
     『ラブロスポルノス』http://loverospornos.com/

“縛師”という職業がかっこいいなと思って…きっかけは邪道なんです(笑)

●元々は専門学校の在学中に縛りに興味を持ったんですよね?
「美術系ってアングラが好きなヤツが多くて、SMってアングラじゃないですか。ボンテージとか形から入って、フェチズムで精神構造がどうとか。みんな一度は遠からず触れる世界なんです。私は覆うことに興味があって、いろんなものを覆って縛ってたんです。縛ると言えばSM、縛れたらみんなに『スゲェ』とか言われてカッコいいなって。そんな邪道なきっかけだったんです(笑)」

●それでいきなり現場に?
「千葉先生っていう縛師がいるから一緒に行こう!と講師に誘われて。この人が縛師と呼ばれる人で、この人に弟子入りしたんだってことくらいしかわからなくて」

●アダルト業界にビビることはなかったんですか?
「現場の話も全部ネタになる!って。まぁ売られることはないだろうと(笑)。目の前でセックスしてる光景がなんとも不思議な感じでした。エロい感じがしなかったんです。セックスしてる人の周りをたくさんの人が取り囲んで、変な世界だなって。で、二回目の時に女優に罵声を浴びせろ!って。断ったらビンタしろ!って」

●やったんですか?
「やりましたよ(涙)。女のコの目つきが違ってましたね~。『やりやがったな』みたいな(苦笑)。イヤな思い出にも関わらず、また行ってしまって」

●3度目の正直で(笑)。
「女のコを苛めて心地いいわけでもないし、けどアシスタントだから現場には行かなきゃ、って。なんかやらされるだろうなって覚悟してったら、案の定」

●またやらされたわけですね(笑)。
「女優が『女に叩かれるほどイヤなことはない!』って叫んでるんですけど、どこかで客観視してる自分がいるんです。女同士のせめぎ合いって面白いって。その辺から映像に携わりたいと思うようになって」

●ところで、千葉先生から雪村先生に師匠を変えられてますよね。
「千葉先生は鼻攻めと浣腸をするので、それがどうしても(苦笑)。決定的だったのは『縛りは拘束するためのもの』だったんですね、千葉先生は。私は縄で展開をしていきたかったんです。で、雪村先生の縛りを『SMスナイパー』を見て、この人に教えてもらいたいなーと、知り合いに頼んで紹介してもらったんです。で、そのまま雪村先生の制作会社にアシスタントで入って」

●アダルト業界に入って、偏見視されませんでした?
「うち、すっごく人のいい両親で、美術系の変なことやってるんだろうな、ってことくらいは分かってるんですけど、それ以上聞いてこないですね。友達は面白がって納得してます。ギャグで『縛師始めました』って、ボンテージの写真付けてメールしたら、それ以来まったく連絡つかなくなった男友達はいますけど」

●あははは!
「『あたし、縛師!』って言えたらカッコいいじゃないですか。そんな気持ちもあっての業界入りだったんですよね~。だから『お前は邪道だ!』って言われましたよ。縛師を始めた頃のお姉さんたちって、バブルの生き残りで毛皮着るのが富の象徴、『ドレイに貢がせてるのよ』みたいな。今だったら現実離れしたシンボル的存在を崇めたくなる気持ちも分かるんですけど、自分はそうなる人間じゃないって。普通だけど実はこんな武器持ってます、でいいじゃないかと。いや、頑張ってそうなろうとした時期もあるんですよ! けどやればやるほど安っぽくなっちゃって(笑)」

SMって、縛る側と、縛られる側の闘いだと思ってます

●ところで。荊子さんの作品は、何に主観を置いてるものが多いんでしょうか。
「自主制作の作品は、闘いだと思ってます。縛る側と縛られる側の。Sがリードする役目はありますけど、上下関係じゃない。みんな勘違いしてるんですよね。MはSに従うけど、本当はSがMにやらされてるかもしれないんです。でもMは、やってほしいことをやってもらうと飽きてくるんです」

●えっ!? 飽きるんですか?
「そう。本当は裏をかいて欲しいから。かまってちゃんなんだけど、『今は忙しいんだよ!』って言われたい」

●わ…わがままー!!
「M女は可愛くなくてももてはやされるんで、自分がモテると勘違いしてるコも多いですよ。M女は魔性の生き物です! それでSを引っ掛けては潰して…」

●つ、潰される…?
「身体を合わせるとわかるように、縛りもセックスと同じで、縛ることで情を交わしてるんです。終わった後もセックスに似た倦怠感があるし。例えば男が迷ったりすると、ちょっと幻滅しません?」

●します。冷めちゃう。
「縄も迷ったらMに負けるんです。さらにMの想像通りに縛ったら負け、裏をかいて『こんな縛り方するのね』って思わせたら、Sの勝ち。毎回そのせめぎ合いだと思ってるんです」

●映像ではまた伝わりづらい…
「そうそう(苦笑)。その雰囲気が伝わればいいかな。だから男性より女性の方がウケますね。性器に触らず、服も脱がさないで、直接的な快感に至らずどこまで狂えるか?ってところに焦点を合わせて作ってます」

●裏をかく、ってお話がありましたが、セックスで快感を得るためにココロを開くのとは、真逆ですよね?
「セックスがフルオープンなら、ちょっと開いてすぐ閉じることを繰り返してるのがSMかな。左乳首が性感帯で、いじくられながら挿入されるとイっちゃう人がいるとしますよね。イクけど更にその上の快感ってのがあって。それはどれだけ気分が盛り上がったかで感じられるものなんです。人って驚きが興奮に変わるんです。だから途中にいつもしないことを挟んでいくと、お互いにもっと気持ち良くなれるんです」

●こんなところで!? とか、いきなりバックで、とか。
「触って欲しいのにジラされるとか。縛るのもまったく同じ。慣れちゃうのが一番良くないし、怖いですね」

●慣れちゃってこの仕事を迷ったことはありましたか?
「毎回人が違うから、今日も上手くいくだろうか…ってドキドキですよ」

●それはワクワク? 不安?
「両方です。そのストレスが強すぎて『やってもやっても上手くいかない、辞めたい!!』って思ったことはあります。師匠にも『女が好きじゃないってことは決定的に向いてない』と言われて」

●それでも続けてるのは、何かきっかけがあったんですよね。
「女のコが苦手な女優さんを縛ったことがあったんです。SMも二回目っていうその女優さんがめちゃくちゃ濡らしてくれるんですよ。キスだけで白目向いて昇天しちゃったり、縛って離れると『行かないで』って号泣したり。そのプレイが突破口になって、女優さんとも絡めるようになって」

プライベートでは…普通の彼氏が欲しい(笑)

●ちなみにプライベートのパートナーは?
「M男とM女がいます」

●えーっと。M男は彼氏ではない?
「M男はM男でしかないです!」

●彼氏にするんだったら?
「フツーの人!!! SM好きとかいらないし! そこまでSMだとすべてがSMじゃないですか。もう、ちゃんとしたいんです、ちゃんと(涙)! 私もフツーのセックスしたいし!」

●あははは!
「あんまりドップリ浸かっちゃダメなんじゃないかと。フツーは彼氏に任せて、M男は縛って相手が快感に浸っている様を見る『物』で置いておきたい」

●お仕事とプライベートの縛りって違うんですか?
「プライベートは多少ぐちゃぐちゃでも気持ちでいけばなんとかなる! よく『余った縄の処理はどうすればいいですか?』って聞かれるんだけど、キレイにしてる間に女のコは冷めちゃってる。プライベートなら勢いで!とよく言います」

●気持ち推しで。
「縄じゃなくたっていいんですもん。ベルトでも、ネクタイでも『こいつを縛りたい!』って気持ちが大事なんです」

●また彼氏話に戻るんですけど(笑)。彼氏とはお仕事のことで揉めたりしなかったんですか?
「しましたよー。仕事のことは知ってるんですけどやっぱりネック。絡んでなくても男を相手にしてて、起たせるつもりじゃなくてもチンコ触ってるだろ!って。でも黙ってるとそれが余計に不安の種になるから、『今日はプレイだよ』って一応は伝えるんです。その時彼に余裕がないと『いつまでそんな仕事続けるんだ!』」

●八つ当たりの方向性が違う(苦笑)。
「仕事を否定されると私の存在自体を否定されることになるから、そういう人とはお付き合い出来ないね、と」

●出会いの場ってあるんですか?
「現場は絶対にない! 一般作にも呼ばれて行ったりするんですけど、『わー、縛師だ!』っていう好奇心だからそれも違うし…」

●荊子さん、恋愛上手くないでしょ(笑)。
「昨日も違う人に同じこと言われた(笑)。『縛師だったらもっとしっかりしてください!』とか言われちゃうんです。女王様的にドーンと構えてるような、そういうイメージが大事ってことなんですよね~」

●さて。今度はどういう展開を?
「女の子向けのアダルトコンテンツを企画してます。パラダイスチャンネルで『ジューシーダイナー』ってタイトルになると思うんですが。そこで流す女の子向けのアダルト動画を編集中です。あと『ラブロスポルノス』っていうアダルト、風俗、水商売業界の女のコ向けSNSをやってます。出演者もスタッフも女のコなら誰でも」

●縛師から一歩踏み出たところで勝負すると。
「縄って一つの手段でしかないと思うんです。それには技術が必要だけど、縛れるからといって何になるわけでもなく。雪村先生も『縄がなくても、どうにでもなる』と仰っていたので、そこを目指そうかと」

プロフィール
小室友里 小室友里
1975年7月28日生まれ。獅子座O型。
18歳でグラビアデビュー。AV女優として4年間活動した後、女優兼ライターに転身。現在は映画、舞台、執筆、講演会を中心に活動中。趣味は自転車に乗ること。

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BELLTECH PRODUCTION
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