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第14回 パニック障害
タイトル身体はどこも悪くないのに、急に呼吸が苦しくなり、 死にそうなくらい気分も悪い……。
そんな症状に突然襲われる「パニック障害」。
特に若い女性に急増中の、心の病気に迫ります。

監修/榎本稔(榎本クリニック)
イラスト/トシダナルホ

予期せずパニック発作
おもな発作は6種類

ある日突然、呼吸困難やめまい、吐き気など、耐えられないような不快感や不安感に襲われる「パニック障害」。
かつては「不安神経症」と呼ばれ、症例は古くからありますが、パニック障害という病名が使われるようになったのは1980年以降と比較的最近。
100人中2~3人という高い頻度で発症し、20代前半から30代前半の若い女性を中心に患者が急増中です。
この病気の特徴は、予期せず何度も起こるパニック発作。
1回の発作は10~30分ほどと短時間で嘘のようにピタッと治まりますが、数週間後には再び発作が起こり、これが幾度となく繰り返されます。

おもなパニック発作
●激しい動悸
●息切れ、息苦しさ
●冷や汗、手足の震え
●めまい、吐き気
●感覚の麻痺
●瀕死の恐怖

身体に異常は見られないパニック障害
しかし、放っておくと大変なことに

パニック障害の発作は激しい身体的苦痛を伴いますが、実際には内臓や呼吸器系など、身体の異常は見られません。
しかし放っておくと、予期不安や広場恐怖を引き起こしたり、慢性化につながることも。
うつ病を併発するケースも考えられるため、適切な治療が必要です。

●予期不安とは……
一度パニック発作を経験したことにより、またあのような苦しい発作が起こるのではないか、発作がひどくなって死んでしまうのではないか、などという不安感でいっぱいになり、症状を悪化させたり、発作を誘発させてしまう。

●広場恐怖とは……
以前にパニック発作を経験した場所や、万が一発作が起こったときに、すぐに助けを求められない場所、状況(電車やバスの乗車、屋外など)を避けるようになる。
家から出ることが怖くなり、通勤や通学に支障をきたすことも。

パニック障害の原因は
伝達物質の乱れ

現在、明らかにされている原因は、身体に命令を与える役割を持つ脳内伝達物質の異常によるもの。
危険が迫ったときに脳から分泌され、不安や恐怖を身体に知らせる「ノルアドレナリン」と、ノルアドレナリンを調節する「セロトニン」のバランスが崩れたことにより、発作を引き起こすと考えられています。
そのため、治療ではこれらの伝達物質の乱れを調整していきます。
ストレスや環境など、心因的な理由は発症の原因と思われがちですが、じつは心の問題とパニック障害との関連性は解明されていません。
患者の数は増えていますが、まだまだわからないことが多い病気です。

病院での早期治療で完治
自分にあった対処法も考えて

何度か発作を起こしていても、パニック障害という病名を知らないために、自分の病気に気づかない場合も多く見られます。
早期に治療を開始すれば必ず治る病気なので、早めに医師の診察を受けることが大切。
病院では抗うつ剤などの治療薬を使用しながら、発作を鎮め、発作に対する不安感や恐怖感を和らげるプログラムを行っていきます。
そして、自分なりに発作への対処法を考えましょう。
臆病になり過ぎず、楽しいことを想像したり、好きな音楽を聴くなど、気を紛らわせる方法を身につけていければベスト。
また、コーヒー、タバコの摂取はNG。
コーヒーなどに含まれるカフェインや、お酒、タバコなどの刺激物は、発作を誘発させる作用があるので、なるべく避けるようにしましょう。

自分でできるケア
●規則正しい生活を送る
●ストレスをためない
●体調管理は万全に
●適度な運動を取り入れる

お答え

2年ほど前にパニック障害にかかりました。
将来結婚して妊娠した場合、産まれてくる子供に私の病気が遺伝しないか心配です。

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パニック障害に限らず、どんな病気にも遺伝の要素は含まれます。
ただし、要素があるというだけで、必ずしも同じ病気を発症するとは限りませんので、あまり心配する必要はありません。
遺伝を意識し過ぎて育て方がぎこちなくなってしまうのではなく、普通と変わらず、自然に育てることが大切です。

榎本 稔

心療内科医
榎本 稔

1月11日生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、医学博士。日本外来精神医療学会理事長。成増厚生病院副院長、東京工業大学保健管理センター教授を経て、榎本クリニックを開業。 榎本クリニック/電話 03(3982)5321