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第21回 避妊について
望まない妊娠を避け、自分の身を守るには、しっかりとした避妊の知識を持つことが必要です。
間違った避妊法を続けていては危険。
今回は身近で、効果的な避妊法を勉強しましょう。
監修/赤枝恒雄(赤枝六本木診療所)
イラスト/トシダナルホ
避妊にはいくつかの方法がありますが、もっともポピュラーなのがコンドーム。
薄いゴム製の袋を男性器に装着し、精子の侵入を防ぎます。
同時に、コンドームは性感染症やHIVの感染予防にも効果的。
未婚の場合はセックスのパートナーが変わることが考えられるため、感染予防の観点からもコンドームの使用は必須です。
コンドームの避妊率は100%とは言われていませんが、それは間違った使い方をしているケースがあるため。
正しく使えば妊娠や病気を確実に防ぐことができます。
コンドームを使うと痛みや赤みが表れる場合、ゴムアレルギーの可能性が。
アレルギー向けにゴム以外の素材でつくられたものや、かぶれにくいタイプのコンドームも販売されているので試してみて。
《正しい使い方》
1.先端の精液だめを指でつまみ空気を抜く
2.裏表を確かめ、亀頭部分にかぶせる
3.くるくると根元まで下げてしっかり装着する
《コンドーム着用の注意点》
●長い爪で扱ったり先端の空気を抜かなかったりすると、傷ついたり破れたりする可能性大
●射精直前ではなく、最初から装着すること
●外れるのを防ぐためにも根元まで完全に装着を
●使用期限は約5年。古過ぎるものは使用を避ける
●ホテルに装備されているコンドームは、破れやすいこともあるため注意
これまで日本人にはあまりなじみのなかったピルですが、1999年に低用量ピルが認可されてからは、服用者も増えつつあります。
従来の中用量ピルよりホルモン量を抑えてあり、副作用が少ないのが特徴です。
ピルの成分は、卵胞ホルモンと黄体ホルモン。
このホルモンは排卵を抑制させ、身体を妊娠しているのと同じ状態に保ち、妊娠が起こらないようにします。
正しく服用すれば、避妊の確率は100%。
ただし、性感染症などを防ぐことはできないため、セックスのパートナーが特定できる既婚者向きの薬です。
《低用量ピルを入手するまで》
1.低用量ピルを服用するには、医師の処方が必要。
まれに扱っていない病院もあるため事前に問い合わせを。
2.病院へは保険証を持参すること。
前回の生理日、ほかの薬を服用している場合は薬名などをメモしておくと◎。
3.病院では服用に問題ないかどうか、問診、身体検査を行う。
ピル自体の価格は1ヵ月で3000円前後だが、初回の費用は全部で1万円程度。
《低用量ピル服用の注意点》
●喫煙者の場合、心筋梗塞や血栓症などの発症の確率が高まるため服用できない。
ただし30歳以下で一日10本以下であればOK。
●必ず毎日一定時刻に1錠服用すること。
生理初日に飲み始め、3週間服用したら1週間休むというのが一般的。
飲み忘れたら医師の 指示に従って。
●避妊効果以外にも、生理周期が正しくなる、ニキビや多毛症が改善するなどのメリットがある半面、軽い頭痛や吐き気などの副作用 が起こる場合も。
●健康のため、年に一度は必ずピル検査を受診することが必要。
毎日婦人体温計で自分の基礎体温を測る安全で簡単な方法。
人間の基礎体温には低温期と高温期があり、これによってホルモンや排卵の状態を調べ、妊娠しやすい時期、しにくい時期を割り出します。
生理が始まってからしばらくは低温期が続きますが、排卵日にガクッと体温が下がり、そこから高温期に。
そして再び低温期に入ると生理が始まります。
高温期がなくずっと低温期のままの場合、無排卵月経の可能性が。
生理の周期や排卵日がわかるためとても便利ですが、毎日測るのが面倒だったり、生理が不順な人には向かないのも事実。
また、性感染症を予防することもできません。
《基礎体温の測り方》
1.朝、目を覚ましたらなるべく動いたりせず、婦人体温計を舌の下に入れて測る。
測ったまま眠ってしまってもOK。
毎日同じ時間に測るのがベスト。
2.その日の体温を基礎体温表に点で記入し、前日の体温と線で結んでグラフを作成する。
生理日などのほかに、その日の体調を備考欄にメモしておく。
3.毎日続けて測ることが大切だが、忘れてしまった場合は次の日から再び測ること。
●妊娠しやすい期間
低体温の時期から排卵日の5日後まで
●妊娠しにくい期間
排卵日の5日後から生理の前日まで
効果のない間違った避妊方法を実践している人はいませんか?
以下のような方法は避妊とは言えません。
望まない妊娠で傷つくのは女性。
自分の身体を大切に思うなら、危険な行為は避けること!
【NG1】生理中のセックス
生理中は受精が起こらないが、長く生きた精子が生理後に受精し妊娠するケースも。
また生理中のセックスは炎症を起こしやすく、子宮内膜症などの原因にもなります。
絶対に避けて!
【NG2】膣外射精
射精前から精子は少しずつ漏れ出しているため、いくら膣の外へ射精しても×。
うっかりそのまま射精してしまう場合も。
女性がコントロールできることではないので非常に危険。
【NG3】オギノ式
次の生理の12~16日前を排卵日と予測し、そこから安全期を計算する方法。
昔は有効とされていたが、生活が不規則で身体のリズムが狂いがちな現代人には向かない。
【NG4】洗浄
精子が子宮に届くのはほんの一瞬のため、射精をしてすぐに膣の中を洗ってもまったく効果はなし。
すべて洗い流すことも不可能。
《もし避妊に失敗してしまったら……》
コンドームが破れてしまったり、犯罪に巻き込まれてしまったなどの最悪なケースを救ってくれるのが、アフターモーニングピル。
性交後72時間以内に濃度の強いピルを服用します。
ただし吐き気や頭痛、胸の張りなどの副作用が強く、必ずしも成功するとは限らないため、本当に緊急のときのみに使用したい方法。
しばらく妊娠を避けるために、ピルの服用を考えています。
でも、ピルを飲むと太ると聞いたことがあるので気になっています。
確かにピルを服用して太ってしまったという人はいるようです。
これは、ピルには食欲を増進させる効果があるため、以前より食べ過ぎてしまうのが原因。
ピルそのものにそのような副作用があるわけではないので、自分で食事をコントロールすることができれば特に問題はないでしょう。
産婦人科医
赤枝 恒雄
1944年生まれ。東京医科大学卒、医学博士。1977年、赤枝六本木診療所を開業。六本木での「街角健康相談室」やラジオパーソナリティなど、活動は多岐にわたる。女のコの身体の悩みをQ&A方式でまとめた『これってヘン?』(小社刊)が好評発売中。