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第26回 自律神経失調症
無数の症状が表れる「自律神経失調症」。
圧倒的に女性患者が多い、心の病気です。
頭痛や肩こりにめまい……など。
『気のせいかも』なんて身体からのSOSを見過ごしてはいませんか?
監修/榎本稔(榎本クリニック)
イラスト/トシダナルホ
自律神経は、呼吸や体温調節、消化吸収などを、自分の意思とは無関係にコントロールする役割を持ちます。
この自律神経には活動を促す「交感神経」と、活動を抑制する「副交感神経」があり、これらが状況に応じて切り替わることにより、身体のさまざまな器官の働きを調整しているのです。
ところがストレスなどの原因により、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうと、身体の器官がうまく働かず、心と身体にさまざまな症状が表れます。
これが自律神経失調症です。
また自律神経失調症は、男性に比べ、ホルモンバランスが乱れがちな女性に多い病気。
自律神経をコントロールしている脳の「視床下部」は、ホルモンを分泌している「脳下垂体」の調整も行っています。
そのためホルモンの分泌が不安定になると、つられて自律神経にも影響が表れたり、その逆も見られます。
身体的、精神的ともにさまざまな症状が表れます。
複数の症状が重なったり、表れたり消えたりを繰り返すことも少なくありません。
【身体的症状】
頭痛、肩こり、だるさ、めまい、冷え、ほてり、息苦しさ、
動悸、息切れ、冷や汗、倦怠感、食欲不振、睡眠障害など
【精神的症状】
イライラ感、不安感、恐怖心、怒りっぽくなる、
記憶力・集中力の低下、涙もろくなるなど
自律神経に刺激を与え、働きを乱す原因には大きく以下の4つのことが考えられます。
■ストレス
もっとも大きな原因。
仕事や人間関係など、知らず知らずのうちに積み重なった精神的ストレスが自律神経を圧迫
■不規則な生活
疲れがたまっていたり、睡眠不足が続いたことにより身体のリズムが狂う。
アンバランスな食生活も×
■気温の変化
外と室内との温度差が激しい夏場に起こりやすい。
急激な気温の変化についていけず、自律神経の調整が乱れる
■ホルモンの乱れ
月経周期や妊娠、出産などでホルモンの分泌が乱れる。
環境の変化やダイエット、ストレスも原因に
【あなたは大丈夫……!?】
責任感が強くまじめ、内向的で人付き合いが苦手、感情のコントロールが下手、何事にも依存傾向が強い自律神経失調症にかかりやすいタイプといえます。
見過ごさないで!!
「あれっ」っと感じたらまず診断
身体のあらゆるところに症状が表れる自律神経失調症ですが、特定の器官に異常があるわけではないため、気のせいかもしれない……と見過ごしがち。
判断が難しい病気です。
おかしいな、と感じたら早めに医師に相談し、精神科や心療内科を受診しましょう。
治療は、医師とのカウンセリング、自律訓練法などのメンタルケアや、自律神経調整剤、抗うつ剤、ホルモン剤などを使った薬物治療が有効。
また、生活の乱れが影響している場合もあるため、自分でライフスタイルを見直すことも必要です。
◆しっかり睡眠を取り、規則正しい生活を心掛ける
◆糖分、油分を控えた食事を。
なるべく一定の時間に食事を取れれば◎
◆室内と外の温度差を少なくするため、冷暖房は抑え気味に
◆趣味を楽しむ時間をつくったり、軽い運動などで気分転換をはかる
★疲れを感じたときにまずはコレ!★
・15分睡眠で体力回復
忙しくて睡眠不足だと感じたら、ちょこっと昼寝をして疲労回復を。
眠る前にコーヒーを飲み、眠る時間は15分。
目覚めて外の光を浴びれば、身体はスッキリ!
・半身浴でリラックス
副交感神経の働きを促すには、ぬるめのお湯で半身浴をするのが効果的。
ベッドに入る1~2時間前に入浴するとぐっすり眠ることができる
自律神経失調症を改善するには、正しい食生活がいいと聞きました。
どんな食品を摂ればいいのでしょうか?
ビタミンB群を含む豚肉、ウナギ、サバなどは神経の働きを正常に保つ働きがあります。
ストレス対策に有効なビタミンCを含むピーマン、ホウレンソウ、アセロラなどとともに摂取しましょう。
また、カルシウムを含む乳製品、大豆、小魚などはイライラを鎮める効果があります。
心療内科医
榎本 稔
1月11日生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、医学博士。日本外来精神医療学会理事長。成増厚生病院副院長、東京工業大学保健管理センター教授を経て、榎本クリニックを開業。 榎本クリニック/電話 03(3982)5321