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第50回 メラノーマ(悪性黒色腫)
見た目がほくろに酷似していることから、見過ごしてしまいがちなメラノーマ。
聞き慣れない病名かもしれませんが、皮膚がんの一種です。
本来は、高齢者に多い疾患でしたが、最近では20~30代の発症が増えているようです。
監修/戸佐眞弓(まゆみクリニック)
イラスト/トシダナルホ
普通のほくろは、皮膚の中の色素細胞(メラニン色素を産生する)が何らかの原因によって、腫瘍化(良性)した皮膚病の一種です。
ただ、病気とはいえ良性ですから、生活に支障がなければ、特に治療の必要はありません。
ただし、美容の面でどうしても気になるという場合は、レーザーなどで除去することは可能です。
一方、メラノーマはその色素細胞が、がん化して発症する悪性腫瘍で、「悪性黒色腫」と呼ばれる皮膚がんの一つです。
ほくろに似ていることもあって、発見が遅れがちな上に、進行が速いため、タチの悪いがんといわれています。
初期症状がほくろに似ていることもあり、痛みがあるわけでもないので、見逃されてしまうことが少なくありません。
そこで、普通のほくろと見極めるためにもメラノーマの特徴を把握しておきましょう。
ふだん気にかけない足の裏や指に現れることもあり、注意が必要です。
◎メラノーマには4つのタイプがある
1.「末端ほくろ型」
足の裏や手のひら、爪など、身体の末端に小さな色素斑( はん) が現れます。
徐々に大きくなり、そのうち色素斑の中央あたりにシコリが感じられるようになります。
2.「結節型」
初期から黒色でシコリがあり、見る見る大きくなるので、比較的発見されやすいタイプです。
身体のどの部位にも発症します。
3.「表在拡大型」
そばかすのような茶色の色素斑が手足に現れるため、目立ちにくく、進行も遅いので、見逃してしまいがちです。
4.「悪性ほくろ型」
中高年の顔面に多く発症するタイプ。
斑がいびつでどんどん大きくなるのが特徴。
紫外線との関係が深く、日本ではこのタイプが増えているようです。
病状の進行具合(?期~?期)にそって治療は行われ、基本は外科的手術による患部の切除です。
場合によっては、抗がん剤を投与することもあります。
何よりも早期発見、早期治療が重要です。
早期に治療を行えば、完治の確率も高いので、普段から、自身で顔や身体にできたほくろをチェックするように心がけましょう。
新たにほくろを発見したり、それがどんどん大きくなるようなら、すぐに皮膚科を受診することです。
また皮膚がんの発症は、紫外線が関与していると考えられているため、日頃から紫外線カットを心がけることが大切です。
冬場でも、日焼け止めクリームや日焼け止め効果のあるコスメを使うなど、紫外線の防御対策をしっかり行いましょう。
ちょっと前から右手の親指の爪に黒い筋が出ているのですが、爪に出るメラノーマもあるのでしょうか?
最近、指をドアに挟んだり、ぶつけたということはありますか?
それがないようなら、メラノーマの可能性が考えられます。
爪に現れるメラノーマは打撲したときにできる内出血とよく似ています。
黒い筋がなかなか消えないようであれば、一度皮膚科を受診すべきです。
形成外科・皮膚科医
戸佐 眞弓
11月3日生まれ。東京女子医科大学卒、医学博士。東京女子医科大学 形成外科学教室、帝京大学医学部附属病院 皮膚科学教室を経て、まゆみクリニックを開業。専門は、ピーリング、レーザー治療、脱毛レーザー、スキンケア。