新ガールズクリニック

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第55回 
タイトル今や、痔はオジさんやオバさんだけの病気じゃありません。
ひそかに悩んでいるコもいるのでは?
特に、長時間パソコンの前にじっと座っている人や、便秘がちの人は要注意です。

監修/伊藤都(伊藤メディカルクリニック)
イラスト/トシダナルホ

痔と現代人とは、
切っても切り離せない関係!?

話は、はるか昔にさかのぼりますが、人類の進化の過程で四足歩行から二足歩行になったことに痔の原因はあるようです。
四足歩行から二足歩行になるということは、身体が横から縦になったわけですから、下半身、つまり肛門にうっ血する血液量が増えるということになります。
さらに文明が進み、現代では長時間座る生活が当たり前になっています。
長時間同じ姿勢で座り続けることは、うっ血を促進させる、肛門にとっては拷問のような状態といってもいいでしょう。
さらにはストレスや冷え、アルコールや激辛食品などの刺激物の摂取により、肛門への負担は増すばかりです。
現代人にとって痔は、避けにくい疾患の一つかもしれません。

痔にもいろんな種類がある?

痔を患っている人の中で、3人に1人はいぼ痔に悩まされているというほど、痔の中ではポピュラーなものです。
いぼ痔は「内痔核」と「外痔核」に分類され、特に「内痔核」の患者が多いようです。
そして、断トツで女子に多いのが「切れ痔」です。
読んで字のごとく、肛門が切れて出血する類(たぐい)のものです。
もう一つは、男性に多く見られる「痔ろう」があります。

◎いぼ痔(内痔核・外痔核)
◎切れ痔
◎痔ろう

痔になる原因ってどんなこと?

痔を引き起こす原因は、うっ血と冷えといっても過言ではありません。
そこでうっ血の原因となるものを中心に挙げてみました。

◎便秘
これは痔を引き起こす大きな原因です。
便が腸にたまっている状態は、肛門周辺を圧迫します。
ですから、慢性的に便秘を繰り返していると肛門にはかなりの負担がかかり、血液の循環を悪化させることに。
また便秘の人は排便時も強く息みますから、これまた、肛門に圧がかかり、痔の原因に。

◎長時間の着席
長時間、同じ姿勢で座り続けていると、肛門部がうっ血して痔の原因となります。
1時間に一度は立ち上がり、歩いてみたり、その場で足踏みでもいいので足を動かしましょう。
足を動かすことによって下半身に滞留している血液の循環を促進させることができます。

◎冷え
冷えも肛門部のうっ血を招く一因です。
腰や太ももの辺りを冷やすことのないように、防寒効果のあるインナーを着用したり、オフィスならひざ掛けをするなどの心がけを。
腰にカイロをあてるのもいいですね。

◎アルコールや刺激物の摂取
たばこ、アルコール、辛い食べ物など、刺激の強い物はなるべく控えましょう。

◎過度のストレス
過度なストレスがかかると自律神経に作用し、免疫力が低下し、雑菌への抵抗力も落ちてしまいます。
肛門周辺は、常に雑菌類にさらされていますので、菌に抵抗する力が落ちると化膿(かのう)が悪化する原因に。

治療法

痔の治療というと、部位が部位だけに羞恥心もあり、診察への不安は大きいと思います。
痔は悪化させてしまうと、手術が必要になるケースもありますが、初期に治療を行えば、痛みや負担は軽くて済みます。
ですから、肛門辺りが「ムズムズする」「排便時にちょっと出血が……」などという気になる症状があったら、症状の相談をしに行くといった気軽な気持ちで速やかに受診することを勧めます。
初期であれば、外用薬の使用と生活習慣の改善という保存療法で症状が安定するのが一般的です。

お答え

慢性的な便秘に悩まされていて、数ヵ月前から排便時に多少の出血が見られます。
特に痛みもないし、受診していないのですが、これも痔の一種でしょうか?

新ガールズクリニック

おそらく切れ痔ではないかと思われます。
今は痛みがないようですが、切れ痔はかなり痛みを伴う人もいますので、すぐに受診することを勧めます。
慢性的な便秘ということですから、塗り薬と排便習慣の改善に取り組んでいけば完治が見込まれます。

伊藤 都

内科医
伊藤 都

伊藤メディカルクリニック院長。医学博士。平成7年、杏林大学医学部を卒業後、平成15年には女性の健康と美しさ、若々しさを保つことを目的に同クリニックを開院。女性ならではの細やかな配慮と気さくな応対は、同世代の女性たちからも評判が高い。