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第73回 大人のぜんそく
タイトル子どもの頃、ぜんそくの経験がなく、成人してから突然発症する「大人のぜんそく」が、ここ最近で増加しています。
風邪やインフルエンザがきっかけで、ぜんそくを発症するケースも少なくないとか……。

監修/伊藤都(伊藤メディカルクリニック)
イラスト/トシダナルホ

原因は?

ぜんそくといえば、子どもの病気という印象が強いですよね。
それが最近は、大人のぜんそくが増加しているようです。
なんと、この30年間で3倍に増えたというデータもあるとか。
子どものぜんそくとの大きな違いは、「原因」にあります。
子どものぜんそくは9割がアレルギー性ですが、大人は6割程度にとどまります。
残りの4割近くは、非アレルギー性のタイプで、風邪がきっかけで発症するものもあれば、排ガスやたばこの煙、あるいはストレスが引き金となることもあります。

症状は?

ぜんそくの症状というと、激しいせき込みや呼吸時のゼイゼイ、ヒューヒューという「喘鳴」が思い浮かびますが、大人のぜんそくの場合、せきは出ても喘鳴がないケースも珍しくありません。
そのため、風邪をひいたあとに「せきがなかなか抜けないな」と放っておいたら、ぜんそくだったということも。

【主な症状】(個人差あり)
激しいせき込み
呼吸時のゼイゼイ、ヒューヒュー
息苦しさ(息を吐くときがつらい)
粘りのある痰が増える
肩で息をすることがある

治療法

大人のぜんそくは、いわゆるぜんそく特有の症状が出ない場合や、「大人になってからぜんそくを発症する」という意識が薄いことが災いして、放置されることが多く、治療の開始が遅れるため治りにくいといわれています。
ただし、気道の炎症を改善することでかなり症状は落ち着き、日常生活に支障を感じることも少ないと思われます。
気道の炎症改善に最も効果があるとされているのは、吸入ステロイドです。
口からステロイドを吸入し、直接患部に浸透させるものです。
ステロイドは、副作用が強いと恐れる人もいますが、服用薬と異なり、患部にのみ作用しますから、必要以上に恐れる必要はありません。

お答え

明け方くらいに激しくせき込み、そのまま起きてしまうことがあります。
日中は、何の症状もないのですが、ぜんそくの可能性はありますか?

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ぜんそくの可能性が高いと思われます。
風邪の場合は、昼も夜も関係なくせきが出ますが、ぜんそくの発作は夜間や明け方に起こることが多いです。
せき以外の症状はないようですが、早めに呼吸器内科などでぜんそくの検査を受けることをおすすめします。

伊藤 都

内科医
伊藤 都

伊藤メディカルクリニック院長。医学博士。平成7年、杏林大学医学部を卒業後、平成15年には女性の健康と美しさ、若々しさを保つことを目的に同クリニックを開院。女性ならではの細やかな配慮と気さくな応対は、同世代の女性たちからも評判が高い。