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第79回 低体温症
10代、20代に多く見られるという低体温症。
平熱が36℃に満たないと、身体にさまざまな支障が表れます。
よく風邪をひく、だるい、気分が憂うつ……といった不調の原因は、低過ぎる体温にあるかもしれません。
監修/伊藤都(伊藤メディカルクリニック)
イラスト/トシダナルホ
多くの人は、高熱が出ると受診したり、休養を取って即座に治療しますが、低体温症には関心が低いようです。
体温が低いことは身体にとって決していいことではありません。
1℃低いだけで健康や美容にダメージを与えます。
新陳代謝が落ち、自律神経が正常に働かなくなることでアレルギーが出たり、頭痛、貧血などなど身体のあちこちに支障が表れます。
怖い情報ですが、がん細胞は35℃を最も好むともいわれています。
また低体温症は、身体の内部で冷えているため、冷え性よりも気づきにくいという特徴もあります。
では、健康な体温の目安はというと、36.6℃といわれています。
新陳代謝が活発で免疫力も高く、不調知らずの万全な体調を維持する体温です。
寝不足、運動不足、偏食(加工食品や甘い物の取り過ぎ)、ストレス、過剰な冷暖房、バスタブに入らない、窮屈な衣服、行き過ぎたダイエットなどで、生活習慣の乱れが主な原因と考えられています。
(*ホルモン異常による低体温症もありますが、ここでは特定の疾患がない場合についてを取り上げています)
【免疫力の低下】
・がんの発症リスクが高まる
・花粉症などのアレルギー発症を高める
・風邪などの感染症にかかりやすく、治りにくい体質に
【基礎代謝の低下】
・脂肪燃焼がしにくくなるため、太りやすくなる
【自律神経に支障】
・めまい、頭痛、肩凝り、不安、イライラなどが起きやすい
【細胞の働きが低下】
・老化が早まる
・肌が荒れる
【婦人科系統への影響】
・生理不順
・不妊症の原因に
・更年期障害の重症化
・適度な運動
・栄養バランスの取れた食事
・十分な睡眠
・身体を締め付ける下着や衣服は避ける
・身体を冷やす行動は避ける
(極端な薄着、過剰な冷房、冷たいものの過剰摂取など)
・過激なダイエット
健康な身体を維持していく上で「食事」は肝心。
ところが、現実には食生活は軽視されがちのようです。
身体は一日3食を求めているにもかかわらず、朝食抜きやランチはお菓子だけなど、欠食している人が20代では3人に1人という調査結果もあります。
欠食を続けているとビタミンやミネラルも慢性的に不足状態となり、必要な栄養素が体内に行き渡らなくなり、低体温のみならず、頭がぼーっとしたり、やる気が出なかったり、憂うつな気分に陥ったりなどという、精神的にもエネルギー不足の状態となってしまいます。
ミネラルやビタミンは体内で、消化や代謝、老廃物の排出、エネルギーを生み出す際のサポートをする重要な役割を担っています。
ですから、これらが身体に入ってこなくなるとさまざまな不調が表れます。
ミネラルやビタミンを摂取するには、いろいろな食材を食べるのが理想ですが、時間的にも環境的にも難しいという人は、ぜひともサプリメントの利用を。
低体温症と冷え性は別モノですか?
ちなみに私の平熱は36.3~36.4℃です。
冷え性と低体温症は似て非なるものです。
身体の末端に血液が通いにくくなり、手足が冷えるのは冷え性の典型的症状です。
一方、低体温症は身体の内部や全身が冷えるので、冷えを自覚しにくいのが特徴です。
あなたの場合、現在は低体温症ではないようですが予備軍ですので、体温を上げる生活を心がけていくことが大切でしょう。
内科医
伊藤 都
伊藤メディカルクリニック院長。医学博士。平成7年、杏林大学医学部を卒業後、平成15年には女性の健康と美しさ、若々しさを保つことを目的に同クリニックを開院。女性ならではの細やかな配慮と気さくな応対は、同世代の女性たちからも評判が高い。