●「試し行動」と「試しセリフ」
相手の仕事が忙しくてなかなか会えない時に、「なんの仕事で忙しいの？」「2時間くらい時間を作れないの?」と問うのは当然です。

しかし、「私と仕事とどっちが大事?」なんて質問をしたところで、前回出てきたAV嬢が言うように、「仕事に決まってんじゃん」という話。
聞く意味がない。

なのに、「おまえの方が大事だけど、今は仕事を片付けないと」とか「おまえのことを大切にするためにこそ仕事をしなきゃ」なんてことを言って欲しいわけです。

「私のことを愛している?」と聞いて、「おまえのことを愛しているよ」と言ってもらえることで安心する。
「愛していないよ」と答えるはずがないのに。

当然答えるべき答えしかくれないのでは確信が保てないので、次に相手を試す行動をする。
わざと相手を心配させたり、困らせたりする行動をとる。
他の男に言い寄られたことを彼氏に告げてその反応を見たり。
「私と仕事とどっちが大事?」もその「試し行動」「試しセリフ」の一種です。

こういうタイプは「私のどこを好きになったの?」というフレーズも得意です。
相手が自分を好きであることの確認をしたい。
また、「どのくらい好き?」「あなたにとって私はなんなの?」という質問も好きですね。

●男の不安解消のための風俗店
ところが、時代が変化してきて、こういう確認作業としての恋愛を必要としない女性たちも増えています。
男性化していると言ってもいい。

一方で、女性化している男たちも増えています。
その結果、今まで女性特有とされてきた言葉を口にし、女性特有とされてきた行動をとる男たちも若い世代には出てきています。

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文 = まつざわくれいち／1958年生まれ。『エロスの原風景』（ポット出版）、『風俗お作法』（小社）など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ