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- 第5回
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一見、とってもとっても、おとなしそうに見える。もっちりときめの細かい白い肌。すこし下脹れの丸顔は彼女を年齢より幼く見せている。銀ぶちの眼鏡をして、きっと学校時代は真面目でおとなしい子だと思われていたような。みんなと騒ぐより、一人で本など読んでいそうな、そんなタイプ。 今日は出てきてくれてありがとう、そう言うと彼女は目線を外しなから、いいえ、と言った。少し怒っているような話し方。ちょっと近寄り難い雰囲気を持っているのだけれど、笑うと急に可愛らしくなる。出身地を聞いたら広島だという。そっちの言葉好きなの、広島弁で喋って、とおねだりしているうちに、きれいな標準語の中に少し広島ふうのアクセントが混じりだす。そのほうが、彼女の喋り方は素敵だ。さっきまでの近寄り難い空気が一気に薄らいできた。笑顔の頻度が増えてくる。 竹下まゆみは、不思議な女の子だ。取材というのではなしに、話していくほどこの女の子のことをもっと知りたくなる。高校を出てからパタンナーとして働き続け、東京には2年前に出てきたという彼女。なんだか不思議な磁力を持った彼女の体験は、その一見優等生風の風貌からは想像もつかない、彩り豊かなものだった。 |
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