聞き書き彼女たちのセックス
みんな、未明のページに遊びに来てくれてありがとう。このページではみんなと同じ「フツーの女の子」のセックス体験を、大げさに書くことなく、ありのままに伝えていきたいと思います。
ていうのもさ、女の子のセックスに関する記事って、女の子雑誌だとどーしてもファンシーになっちゃうし、おっさん雑誌だと馬鹿みたいにねじ曲げられて過激に作られちゃうじゃない。でもさ、私たちのセックスって、マスコミがあおるみたいにただ過激だったり、お金目当てだったりするわけじゃないよね。私たち女の子は、たとえ風俗で働いてたり、時にはすごくエッチになったりしても、自分のセックスに「切実さ」と「真剣さ」を抱えてるはずなんだ。
そのへんを私は描きたかったし、ここに登場してくれた女の子たちも、真剣に自分のセックスを語ってくれました。きっと、みんなに共感する部分があると思うので、ぜひぜひ楽しみに読んでください。

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 一見、とってもとっても、おとなしそうに見える。もっちりときめの細かい白い肌。すこし下脹れの丸顔は彼女を年齢より幼く見せている。銀ぶちの眼鏡をして、きっと学校時代は真面目でおとなしい子だと思われていたような。みんなと騒ぐより、一人で本など読んでいそうな、そんなタイプ。
 今日は出てきてくれてありがとう、そう言うと彼女は目線を外しなから、いいえ、と言った。少し怒っているような話し方。ちょっと近寄り難い雰囲気を持っているのだけれど、笑うと急に可愛らしくなる。出身地を聞いたら広島だという。そっちの言葉好きなの、広島弁で喋って、とおねだりしているうちに、きれいな標準語の中に少し広島ふうのアクセントが混じりだす。そのほうが、彼女の喋り方は素敵だ。さっきまでの近寄り難い空気が一気に薄らいできた。笑顔の頻度が増えてくる。
 竹下まゆみは、不思議な女の子だ。取材というのではなしに、話していくほどこの女の子のことをもっと知りたくなる。高校を出てからパタンナーとして働き続け、東京には2年前に出てきたという彼女。なんだか不思議な磁力を持った彼女の体験は、その一見優等生風の風貌からは想像もつかない、彩り豊かなものだった。

変態で素っ気なくて冷たいのがセクシー
「東京に出てこようと思ったのは、広島の繁華街の洋品店に勤めて3年経った頃なんですよ。小さい店だったんで、ひととおり仕事を任せられるようになったら、逆に物足りなくなっちゃって。そのままいけば2号店の店長くらいにはなれるって話をいただいたんですけど。もう少し勉強したいなって。

 私、ロックが好きで。広島の駅前にネオポリスホールってライブハウスがあるんですけど、そんなとこ通って音楽聴いてたら、やっぱり空しいから東京行こうって、そういう気持ちになった。ミッシェル・ガン・エレファントとか。あれ広島のバンドなんですよ」

 ──うん。あなたみたいな一見おとなしいんだけどお洒落が好きみたいな女の子が、ああいうロックを聴くよね。で、恋のほうはどうだった? 地味めだけど内に情熱を秘めた女の子の恋は(笑)。

「18歳の時が最初なんですよ。よく行く古着屋の店員だった人で。全然顔はタイプじゃなかったんだけど。私、顔は醤油系の、細面であっさりした人が好きなんですけど、彼はすごく濃い感じで。もと柔道部。体もがっちりずんぐり堅いって感じで。顔がまた妖怪人間ベラに似てて。27歳。でも不思議な匂いのある人だったんです。体臭じゃなくて、なんかセクシーな感じの匂いっていうか。つきあってわかったんですけど、あれが変態の匂いなんだろうな。すごい変態だったの。

 なんとなくデートに誘われて、まあ普通のコースですけどバイクで呉の海に行って。そこのラブホで。で、すぐにサディストなんだってわかった。最初は別にすごいことされちゃうわけじゃないんだけど。なんか残酷な雰囲気で。いじめられるよなセックスで。それが回数を重ねるごとにすごくなる」

 ──縛りとかローソクとか?

「ううん。そのへんは彼は嫌いだったんで。言葉責めが主ですよね。彼ハンサムじゃないくせにモテてたから。たくさんガールフレンドがいて。私のほかに3~4人いたみたいで。言うんですよ。『俺はほかにたくさんいて、おまえなんかその他大勢のひとりなんだから、抱いてもらえるだけでありがたいと思え』みたいなこと。それでもしその中で生き残っていきたいなら、もっと努力するんだな、なんて言って、あたしの口にちんこ押し込んできて、延々舐めさせたり。

 これがたまんないんですよ。変態で素っ気なくて冷たいのがセクシーっていうか。優しくされると興味湧かないけど、そっけない人にこそ惹かれるって、あるじゃないですか。

 で、彼は本当にSM好きだったみたいで、やってる間じゅうあたしのことを侮辱するようなことばっかり言ってるの。まるで小説みたいな台詞ばっかり。でもそれがハマってるから、こっちも濡れる。燃えましたよ。私が、最初は痛いだけだからあんまりしたいとか言わなかったのが、だんだん快感がわかってきて、反応も変わってくるし、欲しがったりするじゃないですか。そうすると『ほんとうにおまえはスケベに変わったな。こんなのがいいのか?』みたいに言われて『おまえにはこれがお似合いだ』なんて言われてバイブ突っ込まれたりして」

 ──最初がそれだと、あなたもかなり方向性が決まってしまうよね。

「そうかも。でも私も好きだったんですよ。まあ彼のほうが変態度は強かったと思いますね。ちんこは小さかったですけどね。デニムフェチで、お尻のラインがぐっと出るホットパンツが好きで。いつも服装にはうるさかった。挿入から射精までは早いんですよ。でも技巧派だったな。延々30分以上エロトークしながらいじってくれて、いきなりねじ込んできてイクの。でもその無理やり感がよくて。月に1回くらいずつ、1年半会いました。ご飯を一緒に食べたことはなかった。会うとやるだけ。

 で、彼はある時行方知れずになって、古着屋も突然辞めてしまって。会えなくなりました。住所も知らなかったし。素性は明かしてくれない人だったんで」

2番目の彼は優しくてシャイな人
「そのあと広島でもう一人つきあいました。ミュージシャン志望の彼で、彼がライブに使う服とかアクセサリーを、私が働いている店に買いに来てたのが始まり。でもシャイな人で、何も言わずに練習の前に必ずうちの店に寄るって状態が1年くらい続いてて。それでやっとだから。ちょっとストーカーぽい。内に情熱を秘めるタイプっていうのかな。静かなんだけど、愛されたいっていう欲望のすごく強い人だった。

 彼が言うのに、3人兄弟の真ん中なんですって。真ん中って、あんまり愛情こないじゃないですか。それで、自分は母親の愛を知らないと思ってて。それを埋め合わせるように私をすごく求めてくれた。初めてのセックスは、私から『今日はホテルに部屋とろう』って誘ったんです。例によってシャイだから、何回も食事してもちっともそうならなかったんで、こっちからきっかけ作って。でも、布団に入ってからも並んで寝てるだけで黙ってて、何もしないんですよ。で『なんだ。合宿みたいにただ寝るのかな』って、こっちが思った瞬間、がばっと」

 ──酸っぱい。いいね。彼。

「セックスはよかったです。優しくて。1時間半くらいかけて、全身舐めてくれるの。それこそ足の指まで。私が22で、彼はまだ24歳だったから、よく頑張ってくれたと思う。才能ある人だった。でも、だんだん彼のバンドの練習がハードになって。自己管理できない人だったから、物事に打ち込みすぎると生活がすごく乱れてほかのことできなくなっちゃう。で、私ともできなくなって。会っても疲れていつもぼうっとしてるし。

 私も、きっと男といることが楽しくなくなってきたんだと思う。ちょうど仕事も3年やってひと区切りだしって。それで2年前出てきました」

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