今一番のお気に入りは3Pプレイ
亮子さんはそれからしばらく実家に身を寄せたあとで仕事を見つけて今は一人暮らし。離婚のショックもあって「一人で生きていける力を身につけたい」と会計士の勉強を始めた。夫と別れることが、夫と同じ世界を目指す契機になるとは皮肉なものだ。
「離婚してからは足枷が外れたって思って、はっきり言っていろんな体験をしました。一番はまったのは、28歳の時にカップル喫茶の掲示板で知り合った、家具の販売をするサラリーマン。彼はたくさん抱いてくれました。お互いに休みの時はお昼からホテルに入って夕方までずっとって感じで。すごく幸せでした。彼は3回が限界だったけど。会う時はできるだけ回数多く抱いてくれて」
彼は既婚者だったので、それ以上には進まず、彼女はその後もカップル喫茶の掲示板やインターネットの掲示板などを使ってたくさんの関係を結んだ。その流れの中で見つけた出会いの場が、冒頭のスワッピングサークルだ。
「最初は見学だけって感じで行ったんですけど、一緒にいるとみんな優しいし、怖くない。自然に参加するようになりました。参加を強要されないからよかったのかも。今は気の合う女友達もできたから、サークル感覚で毎週遊びに来ています」
彼女の一番のお気に入りは、自分と男性二人の3Pプレイだ。一人の男性に胸を、もう一人に性器を舐められていると、たまらない気持ちになってしまう。
「でも、前と後ろいっぺんとかそういうのは、ない。私アナルはトラウマあるんで、したくないんです。夫にされても全然よくなかったし、それより前で普通にイキたい」
コンドームをきちんと使用するので、乱交による感染症に関してはあまり恐怖感を感じないと言う。それよりも今はたくさん抱かれることが大切だ。
「どうにも我慢できないって感じ。体が黙っていないっていうか」 彼女もまた、切ないくらい一生懸命、愛されることを求めているのだった。
ただ「する」だけじゃなく、愛されたい
彼女は言う。
「愛があるっていうか、ただするんじゃなくて、愛されている。そういうのが理想。そういう相手に会えたら、その人だけで、それは十分。心も体も同じくらい愛されたい。それが理想」
耳に自然に入ってくる言葉だ。どんな女性もそんな思いでいるだろうと私は思う。」
けれど彼女のかつてのご主人のような人は多い。彼のような男の人は、これからも肉体と心を分けて生きていくのだろうか? それが男の特性なのだろうか? 体と心で同時に求め合う幸せ。当たり前に求めてしまう私たち女に、応えてくれる男は現実には少ない。もちろん男から見たら女はきっと残酷な生き物なのだろうとは思うけど。このすれ違いがほんの少し、たとえ幻想であってもほどけてほしい。互いの心が重なりあう時があったらいい。そう思うからこそ私たちは、毎日行きずりの恋にさえもしがみつく。彼女も。
じゃあ、脱いでくれる? そうお願いすると、亮子さんはうつむいて微笑みながら、服を脱いでくれた。黒い下着に包まれた肢体が現れる。とってもほっそりとしてきれい。まだ31歳。けれどもう31歳。きれいなうちにたくさん抱かれたい、そんなふうに思う年齢──。
もう少し、脱いでくれる? そうお願いすると彼女は静かに決意したように、するりと下着を外してくれた。今日咲かないでいつ咲くの? というように……。
(文中はすべて仮名です)
2003.11.21up