なんていうか、人に見られそうになりながらするのが好きで、窓の側とか、それから結婚前のドライブの後は、必ず家の側の林とか、路地とか、人目につかない所で車止めて、わざわざ車の外に出て、私が車に手をついた状態で入れてくるのが好きで」
──立ちバック好きの公認会計士!!! しかも覗かれ願望! 彼はちょっと変な願望ある人なんですね。ベットの中でもそんな?
「そうなの、基本的には淡白っていうか、自分がよければいい人で、私にはたくさんフェラチオ求めるんだけど、私のことはお印に触ってすぐ入れて来るの。で、すぐ『イっていい?』って聞くんだけど、『いや』って言ってもイクの。だったら聞くなって感じで。前戯から全部いれて30分ないくらい。で、変わってるのはフィニッシュなんですけど。いつも必ずアナルに入れるんです。実を言うと、初めての時から離婚するまで、中でイッたことがない。それでも毎週抱いてくれているうちはまだよかったんだけど。だんだん月に1回くらいになって、それもなくなって。その頃彼の携帯を見たら、女の人からのメールがたくさん残ってて」
──浮気してたんだ。それで別れた?
「うん……。普段から優しくされていれば我慢できたかもしれないけど。結構寂しいって気持ちがたまってたんです。朝と寝る前のキスは習慣だったんですけど、それがだんだんおざなりになってきて、特に夜は面倒臭いのがすごくわかって。それと、彼すごくおばあちゃん子なんですよ。お母さんともすごく仲よくて。お母さんがまたきちんとした人で。それと同じことを要求されるのがすごく辛かった」
結婚生活に終止符を打った理由
──彼の家はどんな家だったの? お坊ちゃま?
「お坊ちゃまではないんですけど、教育一家でした。お父さんが高校教員で、お母さんが大学の事務員。うちは父が工場勤務なんで、雰囲気は全然違う、というのが印象です。うちはごく普通で家族の仲もよかったけど、向こうはどこか他人行儀で、お義父さんは外では立派なんだけど、浮気が激しい人だったみたいだし」
──うん。何が幸せかはわからないよね。お義父さんと旦那さんはそういう部分では似ちゃったのかもしれないね。
「ええ、私への態度が、お義父さんのお義母さんに対する態度にそっくりでした。さらに私に対してもお義母さんに対するような態度になって。『あ、私は妻でなくお母さんになっちゃったんだな』って。すごく寂しかった。けれど、そういう話はできる雰囲気じゃなくて、いつも『家のことはしっかりやれ』って言われてて、家の埃とか、食器とか、細かくチェックされました。お義母さんがとても強い人だったんで、無言で私に同じようにしろって求める威圧感みたいなものがあった。別に守らなくてもいいだろ? みたいな。それが辛くて。でも一番辛かったのは、やっぱり浮気ですね。若い子ならともかく、私と同じ年の、しかもバツイチの人だったんで、なんで負けなくちゃいけないのかわからなくて……」
──ああ、わかる。亮子さんてとても激しいものを秘めている感じだもの。形だけじゃだめだよ。いつも激しく愛されていないとだめでしょう?
「ええ、私は蠍座の女だから……。私はできるだけ彼を甘えさせたつもりだったんですけど、彼にとって私が母代わりになるにつれ、彼は外でもっと気ままに甘えられる相手を手に入れたんだなって。なんだかそのへんがどうにも納得いかなかったし、彼は彼で私との間に距離を感じていたみたいで、結局別れました」
それは間違いではなかったと私は思う。彼が好きだったのは彼女ではなくて、女であり、アナルセックスや露出というプレイへの興味が愛よりも先に立つとしか思えないからだ。彼は小説などを読まない人だったという。そういうタイプの人は、感情の細かい行き来を必要とする女性には、辛いばかりなのではないだろうか。