その頃までに50~60人は体験したかもしれません。でもあんまり乱脈的なセックスができない事情ができて。ゴムアレルギーが出て、コンドーム使えなくなっちゃったんですよ」
そしてえりさんは、ようやく恋人を一人に絞った。
ご主人との出会い、初めてのセックス
新しい恋人は、えりさんより10歳くらい年上で輸入代行の会社を経営する男性。もちろん独身で、よく働く真面目な人だったという。
「でもあまりにも忙しすぎて、ほとんどデートできないの。顔が見たいけど忙しいって言うから会社に行くじゃないですか。小さいビルにワンフロア借りて、従業員が3人くらいの会社なんですけど、一応彼専用の社長室もあったんで遠慮なく。
そしたらキスだけちょっとして。あとは忙しいから一人で遊んでおいでってお金くれるの。5万とか、10万とか。カードを渡された時もあった。嬉しくないこともなかったけど、何度も続くうちに寂しくて。そんなことより二人で過ごしたいのに。けど彼は、抱きたい、というよりは『彼女がいる』という状態を必要としているみたいな人で。私フィジカルな人だから、つらくて。で、つまんないなって、町でふらふらしている時に、今の夫と出会ったんです」
──それはナンパで?
「ううん。昔からの知り合い。私より10歳年上なんですけど、高校生の頃、グループで遊んだ仲なんです。でもお互いに恋人いたんでそういうことにはならなくて。で、それまで何年も音信が途絶えてたんですよ。それがばったり会って、『うっそー。懐かしーい』って、すごく盛り上がって。
次に会った時に私がその彼との状況を話したら『その関係はよくない』って言ってくれて。私、バブル時代に会った男の人たちにすごく甘やかされていたから、すごくわがままになって、常識をなくしていた部分があったんですけど、そういう私のわがままを彼は否定してくれて。それがすごく新鮮な喜びだったんです。彼はお金こそないけどハートがある人だって。お金持ちとつきあったあとだからこそ、そう思ったとは思うんですけどね。
それでその時までの彼とは別れて、主人と会うようになりました。ちょうどクリスマス前だったかな。初めてホテルに行ったのは。ラブホテルだったけど、全然気にしませんでした。好きになってたから、場所はどこでもよくて」
──そのときのセックス、よかったでしょう?
「それがね。できなかったの! あまりの緊張に、処女に戻ったみたいに体が堅くなって、全然濡れない。だから入らないんです。でも、そのくらい好きになってたの。そのあと3か月そんな感じ。もうだめになっちゃったのかも、って。でも、それでも好きだから側にいられればいいよ。なんてお互いに言ってたら、春頃にちょうど雪解けみたいに突然できて。