顔では一番になれなくても、体がある
真奈美ちゃんは、それからますます親との折り合いを悪くしていく。両親ももともと仲はよくない。母親はパートに出ていたが、とにかく家を片付けない。両親はしょっちゅう喧嘩。母親は『稼ぎがあったら離婚したい』と口癖のように言っていたという。そこへきて、娘が外泊やプチ家出を繰り返すようになる。厳格だった父親はますます厳格になり、真奈美ちゃんは家に居場所を失っていく。
その後女子大に入学したものの、学校もあまり行かなかった。『学校に行かないなら、やめて働け』と親に責められるようになった真奈美ちゃんは、ついに大学中退を決意する。それからは家からアルバイトに行ったり、その時々のBFの家を泊まり歩いたりの生活が始まった。
「バイトは、水泳が好きだったのでインストラクターと、コンビニやファミレスのバイトを掛け持ちで。BFはすぐできるんだけど、あんまり長く続かないんですよね。その頃つきあったのは、23歳でレースが趣味の車の修理工。彼が持っている2台の車を交互に駆ってドライブして、車の中でセックスしました。埼玉の荒川の河川敷とかでのセックスが多かった。花火を見ながらしたセックスがとくに印象的。
その頃から町をフラフラしているとAVのスカウトに会ったので、なんとなく、そんな世界もあるんだな、と感じていました。お金に困ったらそういう手もあるんだって感じで」
真奈美ちゃんはその彼と別れると、美容師のBFとつきあうようになる。カリスマ美容師が流行った頃。とてもハンサムな人で、美容院で知り合った。シャンプーされながら『今度個人的に髪の毛洗って欲しい』と言うと、『いいよ。うちに来れば?』と言われ、交際が始まったという。
「でもカッコはいいんだけど、すごいアレの小さい人で、ほとんどインポなの。勃ちがすごく悪い。で、つまんないなーと思ったので、そのほかにもスイミングクラブのインストの彼ともつきあってました。彼には『その美容師の彼と別れたら俺としような』って言われたのがきっかけで仲良くなって。する前から、いつも水着で会うわけだから、体がよくわかるじゃないですか。『きれいな体だよね。AV出れるよ』なんて言われて。ちょっと嬉しくて」
カラダを褒められると嬉しい? AVに出られるってことは、女として魅力的だと認められた、とかそんな感じ?
そう聞くと、真奈美ちゃんは「そこまでは考えない」と言う。けれど「顔はいくらでも可愛い人いるじゃないですか。でも、顔では一番になれなくても、体も使えば、『勝てる』のかなって。武器が倍なわけじゃないですか。体に対する妙な自信がありました。この体が私の人生開いてくれる、みたいな」と言った。
AV出演は楽しい思い出
「結局、20歳の時から、大学やめてすぐですけど、AVの仕事を始めることになりました。最初は緊張しましたよ。泣いてしまって。『なんでこんなこと』って思った。でも、やっている間には慣れてきて、そうするとすごく楽しかった。1年間、月に20日くらい仕事がありました。AVは半日拘束で7万とか、グラビアでも3万とかもらえるので、月に100万は軽く稼いで。とっても楽しかったです。
唯一いやだったのは、私NGなしってことで仕事していたんですけど、一度無理やりアナルファックされちゃったことがあって。『痛いから嫌、無理』って言うのに男優さんが燃えてしまって止まらなくて。結局無理にねじ込んだせいで、おしりの皺が全部中にくるんと入っちゃったんですよね。もう飛び上がるくらい痛くて泣きましたよ。幸い治りましたけど。あとは楽しかったかな。海外にもロケで2回行ったし。男優さんもいい人が多かったから。
え? 男優さんと普通の人のセックス、どっちがいいかって? なんとも言えませんね。男優さんは上手いし、気に入った人とはプライベートでもつきあうんですけど、やっぱりそれなりっていうか……。普通の彼とは好きでつきあうんだけど、テクニックはあまりないし。だから同じくらいです」
けれど蜜月はそんなに長くは続かない。真奈美ちゃんの仕事は1年後には月に2~3本まで減ってしまう。
「それから、減った収入を埋め合わせするために、イメクラで稼ぐようになりました。親? 親はもうなんにも言わない。ていうか、親バレして、もう家にいられなくなって、完全家出しました。だからイメクラはやめられないんです。
実は最近までホストの彼と同棲してました。でもお金なんか取られないですよ。普通の恋愛。仕事のことも隠してない。隠すと疲れるじゃないですか。ありのままの自分でいいって言ってくれた人だから、楽で。楽しくて」